今日考えたこと

得た知識や考えたことのメモをとるのが主目的です

奥の細道 その1

先日、「奥の細道」に登場する町ということに惹かれて、栃木県大田原市黒羽の町を数時間散歩してみた。古くからの伝統を守っている店が散在する通りもある小さな城下町であり、真ん中を流れる那珂川沿いに釣り人が多かったのは昼食で食べた鮎が釣れるためだろうと思った。

帰宅して、「奥の細道」の該当部分を拾い読んだところ、大田原付近での記事には三つの段落が割り当てられていることを知った。

移動用の馬を貸してくれた農夫の様子、馬を追いかけて付いて来た「かさね」という少女の様子、旧門人やその縁者によるもてなし、犬追物の跡や与一に関わる八幡宮名刹雲厳寺への訪問、と実際の出来事が記録されているように思えるが、ひとつの地域のエピソードにしては全体の中に占める割合が大きすぎると感じた。それに反し、作られた俳句はそれほど人口に膾炙してはいない。
芭蕉にとっては、吟行をしたというより、むしろ純粋に旅を楽しんだ、という日々であったのだろうか。

この町を後にした芭蕉は、那須殺生石や遊行柳を経て、白河の関を訪れている。大田原は、奥州へ入る少し手前に位置している。芭蕉にとってこの町での滞在は、「奥の細道」に分け入る前の休息であったのだろうかと想像することができた。