今日考えたこと

得た知識や考えたことのメモをとるのが主目的です

数学的対象と自然界の存在物の違い

落体の運動を記述する際に、距離と時間の関係式が当たり前のように提示される。でも、距離についてよく考えると、ある物体のどこから、目標の物体や場所のどこまで、を距離とするのかを正確に決めることが不可能であること、がわかる。

幾何学においては、実数を前提に距離の値を論理的に正確に定義することが可能であるが、物理学が扱う自然界には幾何学に登場するような扱いやすい図形は一つも存在しない。我々の住む世界には、境界の曖昧な、幾何学的図形に似た存在物、しかない。

それなのに、物理学では、幾何学的図形があたかも自然界に普通に存在しているかのように見なされて、距離や時間などの大きさを数字で表現する座標を基礎として、解析学などに基づく関係式を駆使した理論体系が数百年に渡って構築されてきた。そこでは、事物の境界の曖昧さは考慮されていない。

このような物理学理論を使えば、物体の運動について高精度の予測が得られ実用的に便利なので、重宝されるのは理解できる。しかし、数学のような細部に至る厳密さ、に欠けた脇の甘い理論の独り歩きが、世間一般によって批判無しに受け入れられている状況はいかがなものだろうか。