今日考えたこと

得た知識や考えたことのメモをとるのが主目的です

坊ちゃんと草枕

先週、生まれて初めて「坊ちゃん」の全文を通読し、「草枕」と類似の作品であるということを感じた。

「坊ちゃん」は、卑怯な生き方のできない若者の話であり、「草枕」は美しいものだけを探求しようとして生きている画家の話。どちらも、俗世間の煩わしさから距離を置いた生き方が似ている。清という老女が出てくる「坊ちゃん」に対し、冒頭の茶店のおばあさんが印象に残る「草枕」。なんとなく雰囲気も似ていると感じる。

おまけに、どちらも明治39年に発表されている。

漱石はこの後、俗世間の煩わしさが主題の作品群を執筆することになるが、明治39年の時点では、それらとは作風が違うように感じた。前年から執筆中の「吾輩は猫である」で、さんざん、猫の視点から煩わしい世間に対する皮肉な批評をしていること、に対する対照的な創作活動、ということなのだろうか。