今日考えたこと

得た知識や考えたことのメモをとるのが主目的です

三四郎

久しぶりに読んでみて、ようやく、大きな話の流れが頭に入った。

いい作品と感じるのは以前と変わらない。しかし、新聞連載小説のためか、話の流れが行き当たりばったりで、同じ人物の描き方に濃淡があり、時々違和感を感じた。

そして主人公の気持ちの動きの流れが、省略が多いせいか要領を得ず、その分想像力がかきたてられる。

相手の女性の気持ちの流れも同様で、読者の想像に任される部分が多く、そのせいで読後感に余韻がもたらされているのかもしれない。

他の登場人物も同様だが、例外として、与太郎と広田先生の二人は理解しやすい。ただ、彼らは話の流れに深く関与するわけではない。

人間性の奥底までは明瞭に描かず、本質的な描写を避け、会話で遠回しに気持ちを表現するのが、この作品の特徴であり、それが全体として安定した話の流れと不思議な余韻をもたらしているような気がする。